プレスリリース
2021年1月29日
株式会社XNef
日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業
(CiCLE)の ViCLE 実用化開発タイプに採択
~人工知能技術と脳科学の精神疾患診断治療への応用~
株式会社XNef(代表取締役社長 川人光男)は、当社の人工知能技術と脳科学の精神疾患診断技術・革新的治療法を応用した「人工知能技術と脳科学の精神疾患診断治療への応用」の開発について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の ViCLE実用化開発タイプに採択されたことをお知らせします。
本課題では、次の3つの事項に取り組み、臨床応用を目指します。
- fMRI[1]で撮像された脳の機能的結合を対象に人工知能技術を応用して特定された「うつ病の診断脳回路マーカー」の臨床試験。
- 「うつ病の診断脳回路マーカー」により抽出された脳回路に基づき、同一診断内に含まれる生物学的に一様な複数のクラスターを同定し、各クラスターの臨床的意義を明らかにすること及び「うつ病層別化脳回路マーカー」の治験。
- 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が日本医療研究開発機構(AMED)脳科学研究戦略推進プログラムと国際脳科学研究戦略推進プログラムなどにより開発した先進的ニューロフィードバック(NF)技術[2]に基づいたうつ病治療機器の開発。
(1)に関しては、XNef社は、広島大学、ATRと連携しながら、品質の確保された医療機器開発を進めます。
(株式会社XNefについて)
株式会社XNefは、主に株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等に支援された20年以上に渡る脳神経科学・人工知能の学術的研究成果を、精神疾患等心の不安の診断・治療に役立てるため、2017年に創業されたベンチャー企業です。脳科学と人工知能で心の不安に打ち克つ、そのような患者さんに寄り添う医療技術の実現を目指しています。
(うつ病について)
疾病による負荷・社会的損失は、全疾患の中で精神神経疾患が最も高くなっているといわれています。そのなかでも、「うつ病」は、最も大きい社会的損失につながることが知られており、日本においても「うつ病」による経済的損失は年に2兆円と算出されています。一方で、精神疾患の診断と治療の開発は停滞しているといわれています。その大きな要因の一つとして、精神疾患の診断が、主に医師が行う問診により、患者さんの症候だけに基づき判断され、生物学的な検査が用いられていないことが挙げられます。また、治療は薬物に偏っており、メガブロックバスターも過去30年に産まれていません。
【お問い合わせ先】
<研究内容に関すること>
(株)XNef 広報担当
〒619-0288 京都府相楽郡精華町光台2-2-2
E-mail: press@xnef.jp
https://www.xnef.jp/
【用語説明】
[1] fMRI
機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)酸化型と還元型ヘモグロビンの磁化率の違いを利用して、粗く言えば、脳全体の血流量の変化を画像化する技術です。酸化型と還元型ヘモグロビンの量の違いは脳活動の度合いを反映しているため、この画像を解析することで、各脳部位の活動度合いを推定することができます。
[2] 先進的ニューロフィードバック(NF)技術
fMRI([1]を参照)と人工知能技術を組み合わせ、対象とする脳領域に特定の活動パターンを誘導する方法です。ATRで実施された先行研究(Shibata et al., Science, 2011)において、世界に先駆けて開発されました。